2026年8月に入り、外国為替市場では、それまでの円安から円高方向へ大きく動く場面が見られました。
報道によると、ドル円相場は一時1ドル=163円を超えていましたが、8月3日には一時155円台まで円高が進み、8月4日朝には157円台で取引されています。
これから海外留学やワーキングホリデーを予定している方にとって、円高は気になるニュースです。
数日間の海外旅行とは異なり、留学やワーホリでは、学費、家賃、食費、交通費などを数か月から1年以上にわたって支払います。そのため、1円の為替変動は小さく見えても、1年間の合計では大きな差になることがあります。
円高になると何が安くなり、何がすぐには変わらないのか、出発前に確認しておきましょう。
2026年8月、円相場はどう動いた?
2026年7月末から8月初めにかけて、円相場は短期間で円高方向へ動きました。
今回の動きについては、日本とアメリカによる協調的な円買い介入が影響したと報じられています。
円を買い、ドルなどの外貨を売る動きが強まったことで、ドル円相場は一時1ドル=155円台まで円高が進みました。
ただし、為替相場は各国の金利、経済指標、金融政策、国際情勢などによって日々変動します。現在の円高傾向が、留学やワーホリの出発時まで続くとは限りません。
円高になると留学費用が安くなる理由
円高とは、外国通貨に対する円の価値が上がることです。
例えば、1万ドルの学費を日本円から支払う場合を比べてみます。
| 為替レート | 日本円で必要な金額 |
|---|---|
| 1ドル=163円 | 1,630,000円 |
| 1ドル=157円 | 1,570,000円 |
| 差額 | 60,000円 |
1ドルあたり6円の違いでも、1万ドルを支払う場合は日本円で6万円の差になります。
さらに、学費だけでなく、家賃や食費、交通費なども外貨で支払います。長期滞在では支払総額が大きくなるため、短期の海外旅行よりも為替の影響を受けやすくなります。
円高の影響を受けやすい費用
留学やワーホリの費用のうち、円高の影響を受けやすいのは、外貨で支払う費用です。
学費
海外の学校へ外貨で学費を支払う場合は、支払時の為替レートが日本円での負担額に影響します。
ただし、留学エージェントなどを通じて、すでに日本円で支払いが完了している場合は、その後に円高になっても支払額は変わりません。
これから学費を支払う方は、次の点を確認しましょう。
- 学費は日本円と現地通貨のどちらで支払うのか
- 適用される為替レートはいつのものか
- 海外送金手数料が必要か
- エージェント独自の換算レートが設定されていないか
- 分割払いが可能か
学校の公式サイトに掲載されている学費と、日本円で請求される金額が単純な為替換算と一致しないこともあります。
家賃・寮費・ホームステイ費用
現地で毎月支払う家賃は、円高の影響を受けやすい費用です。
例えば、毎月1,000ドルの家賃を1年間支払う場合、合計は1万2,000ドルです。
| 為替レート | 1年間の日本円換算額 |
|---|---|
| 1ドル=163円 | 1,956,000円 |
| 1ドル=157円 | 1,884,000円 |
| 差額 | 72,000円 |
実際には、現地で働いて得た収入から家賃を支払う場合もあります。その場合は、日本円との為替だけでなく、現地での給与や生活費とのバランスも考える必要があります。
食費・日用品
食費や日用品は1回あたりの金額が小さくても、毎日発生します。
ワーホリや長期留学では、外食費だけでなく、スーパーで購入する食料品、洗剤、衣類、通信費など、海外で生活するための支出が続きます。
1年間の生活費を合計すると、為替による差額も無視できません。
交通費
通学や通勤に使う鉄道、地下鉄、バスなどの費用も現地通貨で支払います。
都市によっては、毎月の定期券や交通カードの費用が高額になる場合があります。住居を決める際は、家賃だけでなく、学校や勤務先までの交通費も含めて考えましょう。
航空券
海外の航空会社から外貨建てで航空券を購入する場合は、円高によって日本円換算額が安くなる可能性があります。
ただし、日本円で販売されている航空券は、円高になっても価格へすぐに反映されるとは限りません。
航空券の価格は、為替以外にも空席状況、出発時期、燃油サーチャージ、空港使用料などによって変わります。表示価格ではなく、手数料を含めた最終支払額を確認してください。
ビザ申請費用
ビザ申請料金が外貨で設定されている場合は、円高によって日本円換算額が下がる可能性があります。
ただし、ビザの料金や必要書類、保険加入条件は国やビザの種類によって異なります。申請前には、必ず渡航先の政府機関や大使館などの公式情報を確認しましょう。
1年間でどのくらい差が出る?
学費や生活費などを合わせて、現地で1年間に3万ドルを支払う場合を比べてみます。
| 為替レート | 日本円換算額 |
|---|---|
| 1ドル=163円 | 4,890,000円 |
| 1ドル=157円 | 4,710,000円 |
| 差額 | 180,000円 |
1ドルあたり6円の差でも、年間では18万円の違いになります。
ただし、これは単純に為替換算した例です。実際には海外送金手数料、カード会社の海外事務手数料、現地での物価上昇なども影響します。
「円高になったから留学費用が大幅に安くなる」と考えるのではなく、どの費用を外貨で支払うのかを分けて確認することが大切です。
すでに支払った費用は安くならない
円高の影響を受けるのは、基本的にこれから外貨で支払う費用です。
次のような費用は、その後に円高になっても金額が変わらないことがあります。
- 日本円で支払済みの学費
- 決済済みの航空券
- 日本円で支払済みの寮費
- 留学エージェントへ支払済みの費用
- 日本円で契約した海外旅行保険料
一方、現地で毎月支払う家賃や生活費、これから海外送金する学費などは、支払時の為替レートが影響します。
海外送金にも手数料がかかる
学費や寮費を海外へ送金するときは、為替レートだけでなく手数料も確認してください。
海外送金では、次のような費用がかかる場合があります。
- 送金手数料
- 為替手数料
- 中継銀行手数料
- 受取銀行手数料
「送金手数料が安い」と表示されていても、適用される為替レートに手数料が含まれていることがあります。
学校へ必要額が不足した状態で着金すると、追加送金を求められる可能性もあります。送金前に、受取側の手数料を誰が負担するのか確認しましょう。
クレジットカードの支払いも為替の影響を受ける
海外でクレジットカードを使った場合、必ずしも利用日の為替レートが適用されるわけではありません。
一般的には、利用データがカード会社などで処理された日の為替レートが基準になります。そのため、利用時に確認した相場と、実際の請求額が異なることがあります。
また、カード会社所定の海外事務手数料も加算されます。
海外のお店やATMで「日本円で支払うか、現地通貨で支払うか」と表示された場合は、提示された換算レートと手数料を確認してから選択しましょう。
円高になれば海外旅行保険料も安くなる?
円高になっても、日本で契約する留学・ワーホリ向け海外旅行保険の保険料がすぐに安くなるわけではありません。
海外旅行保険料は、主に次の条件によって決まります。
- 渡航先
- 保険期間
- 年齢
- 渡航目的
- 補償内容
- 保険金額
- 保険会社の引受条件
円高によって現地の食費や家賃の日本円換算額が下がっても、保険料は別の仕組みで計算されています。
長期の海外旅行保険は、短期旅行と比べて保険期間が長く、海外で生活することを前提とした補償が必要になるため、保険料も高くなる傾向があります。
円高でも医療費への備えは必要
円高になると、海外の医療費を日本円へ換算した金額が多少下がる可能性はあります。
しかし、海外の診察費、入院費、手術費そのものが安くなるわけではありません。
留学やワーホリでは、数か月から1年以上にわたって海外で生活します。短期旅行よりも、体調を崩したり、ケガをしたり、生活上のトラブルに遭ったりする可能性が高くなります。
保険料だけで判断せず、次の内容を確認することが大切です。
- 治療・救援費用
- 賠償責任
- 携行品または生活用動産
- 緊急時の日本語サポート
- キャッシュレス診療
- 一時帰国に関する取扱い
- 保険期間の延長条件
- 就労中の事故が補償対象になるか
補償の有無や条件は、保険会社や商品によって異なります。
円高の今、確認しておきたいこと
留学やワーホリを予定している方は、為替が円高方向へ動いたときに、次の費用を確認してみましょう。
- これから支払う学費
- 家賃や寮費の支払通貨
- 海外送金の時期と手数料
- 航空券の最終支払額
- ビザ申請料金
- 現地で必要になる生活費
- クレジットカードの海外事務手数料
- 海外旅行保険の補償と保険料
為替相場だけを見て渡航時期を決めることは難しいものです。
しかし、1年間の留学やワーホリでは支払総額が大きくなるため、現在の為替レートで必要資金を計算し直すことには意味があります。
よくある質問
Q,円高になると留学費用は必ず安くなりますか?
A,これから外貨で支払う学費、家賃、生活費などは、日本円換算額が下がる可能性があります。
すでに日本円で支払った学費や航空券などは、円高になっても通常は安くなりません。
Q,円高になったら学費をすぐに払った方がよいですか?
A,為替相場が今後どちらへ動くかを正確に予測することは困難です。支払期限、学校の規定、送金手数料などを確認したうえで判断してください。
Q,海外旅行保険料も円高で安くなりますか?
A,日本円で契約する海外旅行保険の保険料が、為替の動きだけですぐに安くなるわけではありません。渡航先、期間、年齢、補償内容などによって決まります。
Q,クレジットカード付帯保険だけで1年間補償されますか?
A,カードによって補償期間や適用条件が異なります。長期留学やワーホリでは滞在期間全体をカバーできない場合があるため、カード会社の最新条件を確認してください。
Q,ワーホリでは保険加入が必要ですか?
A,国やビザの種類によって異なります。例えばカナダのIECでは、滞在期間全体をカバーし、医療、入院、本国送還を含む保険が必要です。保険期間が予定滞在期間より短い場合、就労許可の有効期間も短くなる可能性があります。
まとめ
2026年8月初めの円相場は、それまでの円安から円高方向へ動きました。
留学やワーホリでは、学費、家賃、食費、交通費などを長期間にわたって外貨で支払うため、短期旅行よりも為替の影響を受けやすくなります。
1ドルあたり数円の違いでも、1年間の支払総額では数万円から十数万円の差になることがあります。
一方、すでに日本円で支払った学費や航空券、日本で契約する海外旅行保険料などは、円高になってもすぐには安くなりません。
為替だけで判断せず、外貨で支払う費用、日本円で確定している費用、送金手数料、カード手数料を分けて確認しましょう。
また、円高になっても海外の医療費や長期滞在中の事故・病気のリスクがなくなるわけではありません。渡航先のビザ条件も確認し、滞在期間と目的に合った保険を出発前に準備することが大切です。
留学・ワーホリ向け海外旅行保険を確認する
長期滞在向けの海外旅行保険は、渡航先、滞在期間、年齢、留学・ワーキングホリデーなどの目的によって加入条件や補償内容が異なります。
保険料だけではなく、治療・救援費用、賠償責任、キャッシュレス診療、日本語サポート、保険期間の延長条件なども確認したうえで比較してください。
※本記事は2026年8月4日時点の情報をもとに作成しています。為替相場、ビザの要件、カードの適用条件、保険商品の内容は変更される場合があります。最新情報は各国政府、カード会社および保険会社の公式情報をご確認ください。

